お客様への特別な機会について

浦戸諸島の海の幸は、自然の状況と漁師との信頼関係に支えられた、不定期かつ少量の入荷となります。
このため、シェフがその日の素材の状態を見極め、
ふさわしいと判断した場合に、ご準備する次第とさせていただいております。

この特別な食材は、通常メニューやその日のアラカルトに登場することもあります。
もし、この浦戸諸島の海の記憶を、ご自身の体験として味わってみたいとお考えでしたら、
事前にご予約をいただければ、可能な限り入荷の手配をいたします。

御提案

追加料金にて承ります。
準備の都合上、一週間以上前のご予約をお願いいたします。
ランチタイムでのご注文も可能です。
なお、海の状況により手に入らない場合もございます。予めご了承ください。

離島の食材と出会う

Photo by Takaaki TANABE 

当店では、その時々の料理や季節に応じて、さまざまな土地の食材を使っています。

その中のひとつとして、宮城県の松島湾に浮かぶ浦戸諸島の海の幸があります。
ご縁があり、四つの有人島がある浦戸諸島の1つ、
寒風沢島の漁師の方から、魚介を直送していただいています。

浦戸諸島は、穏やかな湾と複雑な潮の流れに育まれた、ミネラルが豊かな漁場です。
水揚げされるワタリガニやタコ、牡蠣は、決して大量に出荷されるものではありませんが、
海の状態を読み、手をかけて扱われた、確かな質を持っています。

漁の状況や量が限られる中でも、シェフとの交流の中で、
料理として大切に扱ってくれるなら、と時折分けていただける魚介があります。

こうした食材は、すべての料理に使われるわけではありません。
その時期、その日の状態、その一皿にふさわしいと判断したときにのみ、
浦戸諸島や寒風沢島の海の恵みを料理に取り入れています。

当店の料理は、産地を語るための料理ではなく、
料理の必然として産地が選ばれることを大切にしています。

浦戸諸島の牡蠣
*26年1月ディナーコースで使用

― フランスで活躍する日本のオイスター ―

浦戸の牡蠣は「一年もの」で、小ぶりですが
「味の密度」を重視した牡蠣になっています。

フランスでは、1960~70年代にかけて、
牡蠣の病気が広がり、養殖業が深刻な危機に直面しました。
長い歴史を持つ産地でさえ、安定した生産が困難になる状況でした。

その際、養殖の再建に用いられたのが、三陸の海で育まれた種牡蠣です。
冷たく清浄な海水と、複雑な潮の流れの中で育つ三陸の牡蠣は、
強さと安定性を備えた存在として、海を越えて受け継がれていきました。
その結果として、フランスで生産される牡蠣の多くが三陸産をルーツとしており、
フランス料理の中にも静かに息づいています。

松島湾、そして浦戸諸島の牡蠣もまた、その系譜の中にあります。
一皿の奥に、遠い海と、受け継がれてきた営みを感じていただければと思います。

ワタリガニ
*26年1月セット・コースで使用

― 海の記憶を引き出すために ―

写真は寒風沢島のワタリガニ
(大きい個体がガザミ、黒い個体がイシガニ)


浦戸諸島・寒風沢島(さぶさわじま)で水揚げされるワタリガニは、
一般に想像されるような立派な「蟹」とは少し趣が異なります。
当店で使っているのは、寒風沢島では身近な存在でもある、
小ぶりなワタリガニです。

このカニは、料理の土台としても、味に厚みを与えてくれます。

食べ進めるうちに、「海がある」と感じるような余韻を残す。
浦戸の海の日常を、そのまま料理に映したような素材です。

生産者について

生産者について

今回、魚介をお届けいただくのは、寒風沢島に拠点を置く漁師・鎌田雄大さんです。
「寒風沢悦芳丸(えほうまる)」を運営し、漁業体験や漁船観光にも取り組んでいます。